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服薬指導に自信がありますか？
～ 服薬ケアコミュニケーションと服薬ケアステップ ～
服薬指導に自信がありますか？
～ 服薬ケアコミュニケーションと服薬ケアステップ ～
岡村 祐聡
一般社団法人服薬ケア医療学会 理事長、つくば薬剤師会 監事、薬剤師
皆さんは服薬指導に自信がありますか？服薬指導は薬剤師の医療技術にとって必須のスキルですが、「どうやってうまく服薬指導を組み立てていくのか」を体系的に教えてもらえるチャンスは、大学の薬学部における教育を含めほとんどないようです。私が服薬ケア医療学会でお会いする多くの薬剤師の皆さんも、みな自分の服薬指導に自信が持てないようです。 服薬ケアの医療理論、技術論の中には、服薬指導を短時間に効果高く組み立てていくためのノウハウやスキルがたくさん含まれています。そしてそのすべてが、誰でも学べば身に付けることができるものです。
服薬指導は自分で組み立てよう！
患者さんの言葉の端々から思いついたことに反射的にお話をしていくのでは、きちんとした目的を持った体系的な指導は望めませんし、その効果も限りがあります。服薬指導は医療者である薬剤師が主体となって、組み立てていくべきです。患者さんとの会話に振り回されてしまうようでは、プロの仕事とは言えません。
「服薬ケアステップ」は、薬剤師が患者さんの話を聞きながら、指導すべき事柄を見つけ、そのための情報を聞き出し、そして納得感の高い指導を効果的に組み立てるための方法論です。できればすべての薬剤師の皆さまがこのノウハウを活用し、しっかりと服薬指導を組み立てることができるようになっていただきたいと願っております。
感情への着目
人は感情の動物です。行動を取るか取らないかは、理性的に正しいからというよりは、感情的にそうせざるを得ないから行動することがほとんどです。 また、人はいつも必ず正しいことしか言わないわけではありません。都合が悪いこと、人には隠したいことがある場合は、事実とは違うことを言うことがあります。 したがって、正しい情報を聞き出すためにも、正しくお薬を服用していただくためにも、患者さんの感情に着目して、感情へ訴えかける必要があるのです。この考え方は、一度しっかりと学ぶチャンスさえあれば、誰でも身に付け、誰でもワンランク上の服薬指導を自由自在にできるようになります。
何らかの病気を持ち、薬物治療を継続している患者さんは、みな必ず何かしらの不安を持っています。その気持ちが時に服薬行動を阻害して、お薬をきちんと飲めなくなったりします。その徴候にいち早く気付き、事実を聞き出し、そして不安を少しでも解消して、お薬を正しく飲んでいただく。これが私たち「薬物治療の専門家」たる薬剤師の使命なのです。
服薬ケアにはすべての答えがあります
服薬ケア医療学会では、学術的な知識習得の方法から、患者さんの感情に着目して患者さんの本当の気持ちを聞き出し、お薬をしっかりと服用していただくための患者応対技術まで、薬剤師に必要な考え方、スキルを身に付けるためのすべての答えが用意されています。ぜひ服薬ケアをともに学び、「本物の薬剤師！」を目指して、ともに成長していきましょう。
「服薬指導」セミナー 5月25日(木) 開催
コラム筆者である岡本先生より、患者さんの話を聞きながら指導すべき事柄を見つけ、情報を聞き出し、効果的に組み立てるための体系的な考え方についてご案内いただきます。
筆者
一般社団法人 服薬ケア医療学会 理事長
つくば薬剤師会 監事
薬剤師
岡村 祐聡
昭和60年明治薬科大学薬学部薬剤学科を卒業。臨床検査会社、調剤薬局を経て、平成11年6月服薬ケア研究所を設立。薬剤師のケアの概念を再構築した、「服薬ケア」理論を研究会や学会などで提唱し続けている。2002年より服薬ケア研究会の会頭を務め、2021年4月服薬ケア研究会は一般社団法人服薬ケア医療学会として組織変更、理事長に就任。「服薬ケアセミナー」などにおける薬剤師の実践教育や、薬局のレベルアップのための指導、コンサルティングなどに活躍中。主に薬剤師を対象とした医療者としての人材育成を行っている。他に看護師、OT、PT、介護福祉士、ヘルパーなどへの研修も行っている。
