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薬剤師コラム Vol.9
知りたい!電子処方箋により患者の流れは変わるのか?
ついに電子処方箋の運用が開始されました。アマゾンの調剤事業分野への参入もあり、薬局関係者の中では心配する声も多いですが、一方でチャンスととらえている経営者も一定数いらっしゃいます。それでは、私たち薬剤師は電子処方箋との付き合い方をどのようにすればよいのでしょうか。
電子処方箋の普及について
まず電子処方箋はどれくらい普及するのでしょうか?もし参考にするとしたら、ジェネリックの普及活動だと思います。国がジェネリック医薬品の使用を促進しようとした時に、振り返れば医師・薬剤師ともにジェネリックに関しては否定的でした。
しかし、診療報酬・調剤報酬にアドヴァンテージを付けること等により、この10年間でジェネリックに関する考え方は大きく変化しました。この成功体験を電子処方箋の普及にあてはめれば、そんなに難しい問題ではないようにも思えます。
患者の動きに変化はあるのか
すでに電子処方箋の受付を体験された方はいらっしゃるでしょうか。薬局での患者の受付方法はマイナンバーカードと健康保険証によって異なることに加え、オンライン服薬指導の有無、事前に薬局へ引換番号等を送付して調剤を受けるなど、複数のパターンが考えられます。かなり複雑化するようにも見えます。
処方箋受付の方法が複数のパターンを用意されるということは、患者の薬局選びが変わる可能性があります。おおよそ患者の薬局を選択する基準として①服薬指導②薬剤師との相性③薬局のホスピタリティ④待ち時間⑤薬局の立地⑥営業時間⑦一部負担金があげられると思います。
しかし選択基準は1つだけではなく、複数の項目により決定される方もいらっしゃいます。この中で①~③は既存の利用薬局に対して、高付加価値を求めている層のため、電子処方箋の導入により、あらたに薬局を探すことは少ないと思われます。一方、④~⑦に比重がある患者は物理的サービスの向上を目指す層であり、さらに複数の選択基準を掛け合わせて満足度を上げる可能性が高いと考えられます。
今回の電子処方箋の運用開始による患者の流れの変化は、まずはこの患者層を中心に起こりえと思われます。
『引換番号』の争奪戦が起こりえる?
前述したように電子処方箋の受付にはいくつかのパターンがあります。ここでは『引換番号』を事前に送付される場合についてお話しさせていただきます。 まず電子処方箋というとオンライン服薬指導を思い浮かべます。相性は良いサービスです。その場合、オンライン服薬指導のアプリを導入しておけば、『引換番号』の送付機能も(おそらく)あるため、薬の受取を配送でも構わない一定数の患者は確保することができるでしょう。オンライン服薬指導を行っている薬局であることを患者へ周知しましょう。
一方、対面で受取ろうとする患者が『引換番号』を事前送付するパターンに関しては注意が必要です。患者には電子お薬手帳、電話、FAX等、『引換番号』の送付手段は豊富にあります。その日のうちに、薬を受取りやすい場所で、待ち時間なしに入手したい方のため、最も効率よく薬を受取れる薬局を探します。筆者が経営に携わっていたころのデータを見ると、都心部をメインにしていたこともありますが、「待ち時間」を一番に気にされている患者は多いとの結果でした。
もう一つ考えられるとすれば、処方箋の有効期限「4日間」に関する心理的要因による行動制限から解放されたいことです。つまり処方箋を出しておくことで安心する。これまでも処方箋をアプリの機能で利用して(お薬手帳等)送付することは可能でした。ただし、処方箋を撮影することを手間と考えて、送信機能を利用しなかった患者も一定数いると思われます。どちらにも共通していることは、処方箋をいち早く薬局へ送付することです。
このようなターゲットを考えた場合、一定数は既存患者が離れることを想定する必要があります。一方で、『引換番号』の事前送付を受付けるためのサービスを充実(拡大)させることで、物理的によりよい条件で薬局を探している患者を増やすことは可能となります。それらのサービスには無料・有料のものが存在します。サービス拡大する場合、そのアプリ等で本当に処方箋が増える仕組みであるのかを慎重に判断し、コストには十分注意して頂ければと思います。
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