注意欠如・多動症(ADHD)の人は個人競技よりも団体競技をする傾向があるとの研究結果が、米サンディエゴで5月8~13日に開催された米国スポーツ医学会(AMSSM)年次集会で5月11日発表された。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センタースポーツ医学部のJames Borchers氏らの研究。
今回の研究では5年間にわたり、米オハイオ州立大学でスポーツ競技をしている選手850人超を対象に調査を実施した。対象者のうちADHDと診断されている人は5.5%強であり、これは学生全体とほぼ同率であった。
Borchers氏らは、ADHDの選手はテニスやゴルフなどの個人競技に惹かれる傾向があるのではないかと予想していたという。こうした競技では自分でコントロールできる部分が多く、反復練習が多く、自分の持つ責任や仲間と敵の役割について心配する必要がないためである。
しかし予想に反して、ADHDの選手では団体競技をしている可能性が2倍であり、アメフトやホッケー、ラクロスなどのコンタクトスポーツに参加している可能性は142%高くなることが分かった。
Borchers氏らは、「団体競技に参加すると、ADHDの選手における外傷リスクは高まる可能性がある」と言う。同センターのTrevor Kitchin氏も、「ADHDの若者では衝動性が高く、無謀な行動がわずかながら多くなることが知られている。ADHDが怪我につながるわけではないが、その特徴を考えると、特にコンタクトスポーツではリスクが高まる可能性がある」と話している。
過去の研究では、スポーツをすることで小児のADHD症状を軽減できることが示唆されている。Kitchin氏は、「選手自身、保護者、コーチ、トレーナーが率直に話し合い、協力してスポーツでの成功に必要な方策を提供することが重要だ」と述べている。学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
(HealthDay News 2017年5月12日)