朝食を取らない人は、朝食をしっかりと取る人に比べてアテローム性動脈硬化症のリスクが高いという研究結果が「Journal of the American College of Cardiology」10月10日号に掲載された。中年期の成人では、特に高カロリーの朝食を取ることで動脈内にプラークが沈着しにくくなる可能性が示されたという。
アテローム性動脈硬化症は、血管内に脂肪やカルシウムなどが堆積してプラークを生じることで血管が硬く狭くなってしまう病態で、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こすこともある。
今回の研究では、心血管疾患の既往のない40~54歳のスペイン人を対象に無症状のアテローム性動脈硬化症に関する追跡調査を行った前向きコホート研究である「PESA研究」の一環として、冠動脈石灰化スコアと血管の超音波検査、生活習慣の調査データを入手できた4,052人の横断解析を実施した。
3つの朝食パターンに分類した結果、対象者の3%が朝食抜き(1日のカロリー摂取量に占める朝食の割合が5%未満)で、70%が低カロリーの朝食(1日のカロリー摂取量の5%以上20%以下)、27%が高カロリーの朝食(1日のカロリー摂取量の20%超)を取っていた。
朝食抜き群では約75%に無症状のアテローム性動脈硬化症がみられたのに対し、低カロリー朝食群では64%、高カロリー朝食群では57%にとどまった。
朝食を取っている人たちは他の面でも健康的で、果物や野菜、魚介類、脂の少ない肉を食べる頻度が高く、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症のある比率も低かった。しかし、こうした従来知られている心血管リスク因子を考慮して解析しても、朝食を抜くこと自体が全般的なアテローム性動脈硬化症のリスク上昇に関連することが分かった(オッズ比2.57、95%信頼区間1.54~4.31)。
この研究は朝食抜きが血管に害を及ぼすという因果関係を証明しているわけではないが、研究を率いた米タフツ大学フリードマン栄養科学政策学部のJose Penalvo氏は「朝食を食べないことがアテローム性動脈硬化症リスクに影響する理由はいくつか考えられる」と指摘。「多くの場合、朝食を抜くことは悪い習慣の一端に過ぎない。朝食を取らない人は外食も多い傾向があり、栄養学的に好ましくないインスタント食品を選びがちだ。さらに、食欲を調節するホルモンや血糖値、インスリンの分泌にも、朝食を抜くことが悪影響を及ぼす可能性がある」と説明している。
Penalvo氏は「健康的な朝食を取ることは、楽しみながら心疾患のリスクを低下させる手段になり得る」とした上で、「全般的な食生活に気を配り、定期的な運動など他の良い習慣を取り入れることも欠かせない」とアドバイスしている。
(HealthDay News 2017年10月2日)