わずか2週間、身体活動を控えて座りがちな生活を送るだけでも、健康な若者が筋肉を失い、内臓脂肪がつき始めるとの研究結果が報告された。結果的には心疾患や2型糖尿病のリスクが高まり、早期死亡に至る可能性があるという。
研究を率いた英リバプール大学加齢・慢性疾患研究所のKelly Bowden-Davies氏は、「本研究で注意すべき点は、被験者が健康なボランティアであったことだ。被験者は何らかの疾患を持っているわけではなく、過体重でも2型糖尿病リスクがあるわけでもなかった」と話す。
同氏らは健康なボランティア28人(平均年齢25歳)を対象として研究を行った。被験者は適正体重で、1日平均1万歩歩いていた。研究開始時、被験者は体脂肪量、筋肉量、ミトコンドリア機能、体力測定を含む健康診断を受けた。
被験者には身体活動を追跡するアームバンドを装着させ、2週間にわたり身体活動を減らしてもらった。階段の代わりにエレベーターを使い、歩く代わりにバスを使い、普段よりも家にいた。1日の歩行量は80%以上減少し、約1,500歩となった。なお、同期間中に食事の変化がないことを確認するため、食事内容も記録してもらった。
2週間後、被験者の除脂肪筋肉量は1ポンド(0.45kg)近く減少し、体脂肪量が増加していた。体脂肪は特に腹部で増加する傾向があった。また、体力が急激に低下し、以前と同じ距離・速さで走れなくなった。ミトコンドリア機能(細胞がエネルギーを調節する能力の指標)も低下したが、この変化は統計的に有意でなかった。
Bowden-Davies氏は、「幸いなことに、こうした不活発な生活習慣による悪影響は、再び活発な生活を送れば2週間以内に回復できるようであった。ただし、週2回ジムに行くのではなく、1日中立ったり歩いたりと活動的である必要がある」と述べている。
この研究結果はポルトガル、ポルトで5月17~20日に開催された第24回欧州肥満会議(ECO 2017)で5月17日に発表された。なお、学会発表された研究は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなされる。
(HealthDay News 2017年5月17日)