近年、野菜や果物をジュースにして飲む「ジューシング」やココナッツオイルなどの健康食がブームとなっているが、最新の科学的エビデンスのレビューによれば、このような流行は逆に健康に害をもたらす可能性もあるという。
レビューの筆頭著者である米国心臓病学会(ACC)生活習慣・栄養作業部会のAndrew Freeman氏は、「栄養に関する情報は混乱を来しており、誰かが『これがよい』と言ったかと思えば、翌日には『よくない』と言っている」と指摘。「このレビューの目的は、医師が患者を助けるために必要なツールを提供するために最善を尽くすことであった」と述べている。
同氏らは、健康的な食事パターン全般と、米国で現在流行している特定の健康食に関する医学的エビデンスをレビューした。その結果、以下のような結論が得られた。
・「ジューシング」は、ビタミン、ミネラルなど一部の栄養素の吸収率を向上させるが、丸ごとの野菜や果物に含まれる繊維質や栄養素は除去されてしまう。また、ジュースはカロリーが濃縮されているが、飲んでもさほど満腹感が得られないという。
・同様に、高用量の抗酸化物質サプリメントを飲んでも、単に抗酸化物質を豊富に含む食品を食べること以上の効果は得られない。植物から何かを抽出しても、一般的には同様の利益は得られず、むしろ危険となることさえあるという。「バランスのよい食事を摂っていれば、通常、ビタミンサプリメントは必要ない」とFreeman氏は指摘する。
・ココナッツオイルは、健康食として流行しているが、健康に有害な飽和脂肪を多量に含んでいる。料理には、不飽和脂肪の含まれるオリーブ油やサラダ油を用いるほうがよいという。ココナッツオイルの効果を裏づけるデータは存在しない。
・グルテンフリーダイエットは、グルテン過敏症やセリアック病の人には有益だが、穀類の消化に問題のない健康な人に利点はない。加工炭水化物の比率が高いグルテンフリー食品よりも、全粒穀類のほうが健康によい。
・卵はコレステロール値を増大させるが、これまで考えられていたほどではない。心疾患や高コレステロール血症のリスクが高い人でなければ、1日に1~2個の卵はほとんど影響がないと考えられる。肉や乳製品に含まれる飽和脂肪のほうが、コレステロール値への害は大きいという。
全体として、未加工の食品を中心とする植物性の食事を摂るのがよいと、Freeman氏は結論づけ、「色の鮮やかな野菜や果物は抗酸化物質の豊富な栄養源である」と付け加えている。この論文は「Journal of the American College of Cardiology」に2月27日オンライン掲載された。
(HealthDay News 2017年2月27日)