チョコレートは心房細動の予防に役立つ可能性があることが、新たな研究で示唆された。心房細動はよくみられる不整脈の1つで、脳卒中になるリスクを高めるとされる。
今回の研究では、デンマークに居住する5万5,502人(50~64歳)を対象に、チョコレートの摂取量を調査したうえで、13年以上にわたり追跡した。追跡期間中、3,346人に心房細動が発生した。
その結果、チョコレートが好きな人では、心房細動のリスクが低い傾向のあることが分かった。この研究は因果関係を証明するようにデザインされたものではないが、チョコレート1サービング(約28g)の摂取頻度が月1回未満の人に比べて、月1~3回の人では心房細動リスクが10%低く、週1回の人では17%、週2~6回の人では20%低かった。ただし、それ以上を摂取しても効果は増加せず、チョコレートを1日1回以上摂取する人ではリスク低下は16%にとどまった。
過去の研究では、カカオを含む食品が心臓に良い可能性のあることが示唆されており、その機序として、カカオに多量に含まれるフラバノールが血管機能を改善することが挙げられるという。
研究を率いた米ハーバード大学公衆衛生大学院のElizabeth Mostofsky氏は、「適度なチョコレート摂取が健康に有益であるとするエビデンスは蓄積されつつあり、今回の研究もその1つである。しかし、多くのチョコレート製品は砂糖と脂肪が多く高カロリーであり、体重増加や代謝障害を引き起こす可能性があるため、過剰な摂取は勧められない」と述べている。一方で、カカオ含有量の多いダークチョコレートを適度に摂取することは健康的な選択である可能性があるという。
研究結果は、「Heart」オンライン版に5月23日掲載された。
(HealthDay News 2017年5月23日)