サッカーボールを頭で扱う「ヘディング」は、実は思いのほか脳に良くないかもしれないとの研究結果が報告された。日常的にヘディングをするアマチュア選手では、脳震盪リスクが有意に高くなるという。
以前の研究によると、年間1,000回以上のヘディングを行うサッカー選手の30%では、脳外傷に典型的な脳白質の微細構造の変化がみられる可能性が高く、認知能力が低下することがわかっている。
この問題をさらに調べるため、米アルベルト・アインシュタイン医学校(ニューヨーク市)教授のMichael Lipton氏らによる今回の研究では、ニューヨーク市のアマチュアサッカークラブの成人男女の選手222人が回答したオンライン質問票に着目した。
全ての回答者が前年に6カ月以上サッカーをしていた。2週間のうちにヘディングを行った回数は、男性は平均44回、女性は平均27回だった。男性の37%、女性の43%は、後頭部にボールがぶつかるなどの偶発的な頭部への衝撃を1回以上経験した。
日常的にヘディングを行う選手では、さほど行わない選手と比較して、脳震盪の症状を示す可能性が3倍以上であった。偶発的な衝撃を2週間で2回以上受けた選手は、そうでない選手と比較して、脳震盪の症状を示す可能性が6倍以上であった。
ヘディングまたは偶発的な衝撃があったと報告した選手のうち20%に中等度から重度の脳震盪の症状がみられた。極めて重度の症状を呈した7人のうち6人は偶発的な衝撃を2週間で2回以上受け、4人はヘディング回数が最も多い群、3人は2番目に多い群に該当していた。
Lipton氏は、「この結果が子どもや学生の選手、またはプロのサッカー選手にも当てはまるとは限らないが、ヘディングの衝撃は脳震盪を起こすこともある強さであり、ヘディングに関連する脳震盪は一般的にみられると示していることは確かだ」と話している。研究は「Neurology」オンライン版に2月1日掲載された。
(HealthDay News 2017年2月1日)