令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置等について
《保険薬局》

 令和5年4月~12月までの期間限定で、医療情報・システム基盤整備体制充実加算および地域支援体制加算について、特例措置が講じられます。 背景として、オンライン資格確認の導入の加速化を進めること、後発医薬品の供給不安定が続いており、患者への適切な薬剤処方の実施・地域における融通の協力等を促す必要性が生じたことがあげられます。

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目次

特例の要約

①医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について
 令和4年度末時点で、オンライン資格確認導入が完了していない場合で、やむを得ない事情がある薬局は、期限付きの経過措置を設けられます。その場合、届出が必要となります。

②医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置
 医薬情報・システム基盤体制充実加算のマイナンバーカードを利用しない場合の加算について、1点プラスされます。

③ 医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置
 地域支援体制加算を届出しており、後発医薬品体制加算のいずれかも届出をしている場合、追加の施設基準を満たすことで、地域支援体制加算の点数がプラスされます。

④令和5年4月1日~12月31日まで時限措置となります。

上記4つのポイントについて、詳しく解説していきます。

①医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付けに係る経過措置について

医療情報・システム基盤整備体制充実加算を算定する保険医療機関・薬局の施設基準として、オンライン請求を行っていることが要件とされているところ、オンライン請求を行っていない保険医療機関・薬局がオンライン請求を令和5年12月31日までに開始する旨の届出を行った場合には、令和5年12月31日までの間に限り、この要件を満たすものとみなされます。(令和4年度末時点で、やむを得ない事情がある薬局は、期限付きの経過措置を設ける)

 


やむを得ない事情


期限

(1)

令和5年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が未完了の保険医療機関、薬局(システム整備中)

システム整備が完了する日まで (遅くとも令和5年9月末まで)

(2)

オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない保険医療機関、薬局(ネットワーク環境事情)

オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6ヶ月後まで

(4)

改築工事中、臨時施設の保険医療機関、薬局

改築工事が完了するまで臨時施設が終了するまで

(5)

廃止・休止に関する計画を定めている保険医療機関、薬局

廃止・休止まで (遅くとも令和6年秋まで)

(6)

その他特に困難な事情がある保険医療機関・薬局
※例外措置又は(1)~(5)の類型と同視できるか個別判断

特に困難な事情が解消されるまで

  *(3)は訪問診療のみを提供する保険医療機関について記載。

 届出について 

原則エクセルファイルを下記メールアドレスに送付することにより届出してください。このとき、エクセルファイルはPDF化を行わず、エクセルファイルのままお送りください。なお、やむを得ず紙媒体にて届出を行う場合は、保険薬局の所在地を所管する地方厚生(支)局に郵送により送付いただくようお願いします。また、エクセルファイルで提出する場合は、ファイル名の最初に「保険医療機関コード(7桁の数字)」をご記入ください。

メールアドレス:online-seikyu@mhlw.go.jp

〈提出期限〉
・令和5年4月診療分:
令和5年3月1日から令和5年4月10日まで。ただし、地方厚生(支)局等の窓口は4月1日以降に届出が集中し、混雑が予想されることから、原則令和5年3月31日までに届出いただくようお願いします。

・令和5年5月診療分~令和5年12月診療分:
算定を行う月の前月最初の開庁日の翌日から当月最初の開庁日まで。

②医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及に関する加算の特例措置

医療DXの推進のためのオンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」 について、
(1)初診時・調剤時の評価を見直すとともに、
(2)再診時についても新たに評価を行う特例措置が講じられます。
また、あわせてオンライン請求を更に普及する観点から、
(3)当該加算の算定要件を見直す特例措置を講ずることとされます。
これらの特例措置を令和5年4月から12月まで(9か月間)時限的に適用されます。

【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】

現行の加算は、オンライン請求を行っていることが要件となっているが、オンライン請求を令和5年12月31日までに開始する旨の届出を行っている保険医療機関・保険薬局は、令和5年12月31日までの間に限り、この要件を満たすものとみなされます。

 


現行の加算


特例措置(令和5年4~12月)


マイナンバーカードを利用しない(6月に1回)

3点4点


マイナンバーカードを利用する場合(6月に1回)

1点1点

[施設基準](初診時・再診時共通)
次の事項を当該医療機関・薬局の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
① オンライン請求を行っていること。
② オンライン資格確認を行う体制を有していること。
③ ②の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うこと(※)について、当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
(*)①は今回の特例措置で、R5.12.31日までにオンライン請求を開始することを地方厚生局長等に届け出た場合には要件を満たしたものとみなす。

[算定要件]

上記の体制を有していることについて、掲示するとともに、必要に応じて患者に対して説明すること。(通知)

③医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置

医薬品の供給が不安定な状況を踏まえ、患者への適切な薬剤の処方や、保険薬局の地域における協力促進などの観点から、保険薬局に対する加算について、特例措置が講じられます。 この特例措置は、令和5年4月から12月まで(9か月間)時限措置となります。

【地域支援体制加算】

上記のような背景から、地域支援体制加算については後発医薬品体制加算1,2及び3を厚生局へ届出している場合であり、下記の追加の施設基準を満たすとそれぞれ1点及び3点プラスされます。(特例措置期間:令和5年4月~12月)

 


現行の点数


後発医薬品体制加算1又は2


後発医薬品体制加算3


地域支援体制加算1

39点40点42点


地域支援体制加算2

47点48点50点


地域支援体制加算3

17点18点20点


地域支援体制加算4

39点40点42点

( ※特別調剤基本料を算定している場合は80/100に相当する点数)

[追加の施設基準]
(1)地域支援体制加算に係る届出を行っている保険薬局であること。
(2)後発医薬品調剤体制加算に係る届出を行っている保険薬局であること。
(3)地域の保険医療機関・同一グループではない保険薬局に対する在庫状況の共有、医薬品融通などを行っていること。
(4)(3)※に係る取組を実施していることについて当該薬局の見やすい場所に掲示していること。 ※取組の例・地域の薬局間での医薬品備蓄状況の共有と医薬品の融通・医療機関への情報提供(医薬品供給の状況、自局の在庫状況)、処方内容の調整・医薬品の供給情報等に関する行政機関(都道府県、保健所等)との連携。

(参考)
後発医薬品調剤体制加算1(後発医薬品の調剤数量割合80%以上)21点
後発医薬品調剤体制加算2(後発医薬品の調剤数量割合85%以上)28点
後発医薬品調剤体制加算3(後発医薬品の調剤数量割合90%以上)30点

令和5年4月1日からの診療報酬上の特例措置に関する疑義解釈資料の送付について<調剤報酬点数表関係>

【医療情報・システム基盤整備体制充実加算】

問1.「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和5年厚生労働省告示第18号)による改正後の「特掲診療料の施設基準等」(平成20年厚生労働省告示第63号)において、「令和5年12月31日までに療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する省令第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を開始する旨の届出を行っている保険薬局については、同日までの間に限り、第15の9の5の(1)に該当するものとみなす。」 とされたが、当該届出を行った保険薬局において、令和5年12月31日までに、電子情報処理組織の使用による請求が開始されていない場合について、どのように考えればよいか。

(答)令和5年12月31日時点で電子情報処理組織の使用による請求が開始さ れていない場合については、届出時点で医療情報・システム基盤整備体制充実加算の要件を満たさなかったものとして取り扱う。

問2.問1について、「電子情報処理組織の使用による請求を開始」とは、どのような状況を指すのか。

(答)「保険医療機関又は保険薬局に係る光ディスク等を用いた費用の請求等に関する取扱いについて」(平成18年4月10日 保総発 第0410第1号(最終改正:令和3年12月3日 保連発1203第1号))別添 電子情報処理組織等を用いた費用の請求に関する取扱要領の別添1電子情報処理組織の使用による費用の請求に関する届出を審査支払機関に提出していればよい。  

【地域支援体制加算】

問3. 今般の地域支援体制加算に係る特例措置において、「当該薬局の存する地域の保険医療機関又は保険薬局(同一グループの保険薬局を除く。)に対して在庫状況の共有、医薬品の融通などを行っていること」が施設基準として設けられているが、どのような取組が求められているのか。

(答) 施設基準で求められる取組としては、後発医薬品の使用促進を図りながら、 地域の保険医療機関・保険薬局との連携の下で、薬局で必要な調剤を行うための情報共有や医薬品の融通、医師との処方内容の調整など、医薬品の安定供給に資する対応である。具体的には、地域の実情に応じて対応すべきものであり、例えば、次に掲げる取組が考えられるが、現下の不安定な医薬品供 (別添4) 調-2 給の状況を踏まえれば、このような取組は、自薬局の周辺地域の保険医療機関や同一グループ以外の保険薬局と連携すべきものであり、地域における開かれた取組であることが求められる。また、この観点から、災害時の医薬品供給の対応のように、都道府県、保健所等の行政機関を介した情報共有等の連携体制に参加する取組も今回の対応として有用であると考えられる。 (例)・地域の薬局間での医薬品備蓄状況の共有と医薬品の融通 ・医療機関への情報提供(医薬品供給の状況、自局の在庫状況)、処方内容の調整 ・医薬品の供給情報等に関する行政機関(都道府県、保健所等)との連携なお、特例措置は時限的なものであるが、上記のような地域における取組を促し、それを定着させるための措置であることを踏まえると、特例措置が終了した後でもこのような取組を継続して行うべきものであること。

参考資料

〈厚生労働省ホームページ・令和5年4月1日からの診療報酬上の措置について〉

〈医療情報・システム基盤整備体制充実加算のオンライン請求要件に係る特例措置について〉

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