セミナーレポートVol.14
「電子処方箋」今とこれから 押さえておきたいポイント

セミナーレポートVol.14

「電子処方箋」今とこれから 押さえておきたいポイント

本レポートでは、2023年9月12日に開催されたオンラインセミナー『「電子処方箋」今とこれから 押さえておきたいポイント』の講演内容をダイジェストでご紹介いたします。

株式会社ユニケソフトウェアリサーチ

株式会社ユニケソフトウェアリサーチ 営業企画グループ

概要

2024年度厚生労働省の概算要求では、医療DXの推進に多くの予算が充てられており、電子処方箋の普及拡大事業や環境整備事業が新規で追加されている。現在の電子処方箋普及率は全体の約2%と低く、申請と運用開始の乖離が大きい。患者から電子処方箋を希望しやすくするため、「電子処方せん希望カード」を薬局で配布して普及拡大の取り組みも進められている。今回のセミナーでは、電子処方箋にまつわる最新の情報をご案内いたしました。

医療DXと電子処方箋の拡充内容

医療DX推進の大きな軸となるのは、全国医療情報プラットフォームの構築であり、「オンライン資格確認等システムの拡充」 や「電子処方箋の普及」も含まれている。2023年度は「電子処方箋元年」と言われており、これから拡充される様ざまな機能についてご案内しました。

◎電子処方箋の口頭同意(2023年10月~)

現状、電子処方箋を使って重複投与相互作用や併用禁忌を確認するには、マイナンバーカードでの受付で同意を得られた場合に限られるが、口頭同意を取得すると保険証での受付やマイナンバーカードの受付で患者が不同意を選択した場合でも、過去の処方や調剤内容を確認できるようになる。薬局にとって最も大きい機能追加であり、運用する際のポイントとして以下の3点が挙げられる。

①口頭同意を取得した旨の記録を残す

口頭同意は電話やアプリ等での取得も可能であり、取得した手段と日時を記録する必要がある。記録する場所は定められていないが、レセコンや電子薬歴のシステムに記録することになると予想。電子媒体に記録する場合には何らかのトラブル発生時に備えて印刷できるようにする必要がある。

②周知の方法

患者に何の同意を求めているのか理解してもらい、重複投薬・併用禁忌という言葉の意味を知ってもらうためには、リーフレットや動画を使った分かりやすい説明が必要。

③同意を取得するタイミング

口頭同意を得るのは受付時とは限らず、患者の状態や事前情報によっては服薬指導時の場合もあり得るため、あらゆる工程で同意取得のオペレーションが必要となる。

◎リフィル電子処方箋(2023年10月~)

順次対応が始まると予想されており、電子処方箋の処方内容(控え)のレイアウトが一部変更されている。リフィル電子処方箋を医療機関が発行しても、薬局が対応していない場合には調剤できないため、紙のリフィル処方箋の発行が必要となる。

◎マイナンバーカードの活用(2023年10月~)

半導体ICチップの枯渇により電子処方箋の対応時に必要なHPKIカードが不足しており、発行に時間がかかっていて、この打開策として、薬剤師個人のマイナンバーカードを使った電子署名が可能となる。HPKIカードがマイナンバーカードに変わるのみで対応は大きく変わらないが、マイナンバーカードでの電子署名はカードレス署名機能に対応可能なシステムであることが前提。

◎処方箋ID検索機能(2023年10月~)

電子処方箋は発行時に処方箋IDも発行される仕組みとなっているが、エラー等により処方箋IDを受け取れない場合、薬局で受付ができず、さらに処方箋の受付取り消しや変更等、その後の処理にはコールセンターへの問い合わせが必須だった。今回の機能拡充により、レセコンで処方箋ID検索が可能となるため薬局で解決できるようになる。

◎調剤済電子処方箋の保存サービス(2024年3月~)

調剤済みの電子処方箋データを預かる有料のサービスで、解約や障害等によって復旧できない場合を考慮すると必要なサービスになると予想される。

ICTソリューション・運用について

続いて、電子処方箋普及や口頭同意などにより薬局で取得できる情報が増えると、オンライン資格確認からフォローアップまでの一連のあらゆる工程で、情報に基づいた患者とのコミュニケーションが求められるため、調剤システム運用を再構築する必要があることを示した。レセコンは事務、電子薬歴は薬剤師、というようにシステムが分業されていると業務効率の低下につながりかねない。

ICTソリューション・運用について イメージ画像

調剤システムは時代とともに求められる機能が変化している。基本機能があることが前提で記録や計算が求められた時代から、服薬指導や在宅の業務支援などのプラスされ、今ではSNSなどを取り入れた患者エンゲージメントの強化や服薬フォローアップ推進のためのICT活用など、患者にさらなる価値を提供できるシステムが開発されている。ここに医療情報の活用が合わさることで、患者への医療提供の質や満足をより高めていけると考えています。

2024年診療報酬改定を見据えて

来年度の診療報酬改定でもポリファーマシーへの対応が求められ、服用薬剤調整支援料や外来服薬支援料は継続が見込まれる。そして、引き続き、対人業務の一層の充実は重視される流れから、患者服薬フォローアップ業務や電子処方箋 管理サービスなど、今後重視すべき薬局の業務テーマへの対応として、ICTや医療情報を活用して、調剤管理加算や重複投薬・相互作用等防止加算を算定できる薬局体制の支援にユニケは取り組んでまいります。

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