新規個別指導、通常の個別指導にしても、再指導には持ち込まれたくないものです。「概ね妥当」の判定が望ましいが、せめて「経過観察」の判定にとどめておきたい。ましてや監査となれば保険指定の取消しも鑑みた対策が必要となってきます。そのような事態に陥らないためには日頃の業務を怠らないことが基本ですが、個別指導の内容をある程度知っておくことも大切です。
個別指導は薬歴だけでなく、多岐にわたる
前回のコラムで「個別指導に要求される提出書類は多岐にわたります」とお伝えしましたが、具体的にどのようなものがあるのでしょう。
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シフト表…保険薬剤師の勤務状況を確認します。
つまり保険薬局に勤務する薬剤師の届け出を随時行っているか。
- 薬歴以外に処方箋原本、調剤録、薬袋、薬剤情報シート、お薬手帳のシール…提出した薬歴と一緒に確認されます。疑義照会の記載内容、調剤印など正しく扱われているか。
- かかりつけ薬剤師関連…同意書、契約書など。正しく手続きが行われているか。
- トレーシングレポート…原本。内容が確認されるため、要件を満たしていることが重要です。 * 都道府県により、要求される提出書類はばらつきがあります。
個別指導の大まかな内容とは
それでは当日の個別指導で聞かれること、チェックされることを少しお話しさせてただきます。
- 個別指導を行う旨のアナウンスの後、担当官の紹介、薬局側の出席者の確認を行います。管理薬剤師にまかせるのではなく、開設者も参加するよう心掛けしましょう。開設者が委任状を書くことで代理の方を出席させることも可能ですが、開設者の業務に対しての関わり度合いは担当官も興味があるところです。
- 薬局の現況を質問されます。このときに開局曜日や時間が変更されていないことがあるので注意してください。
- 使用しているレセコンや電子薬歴の会社名を聞かれ、パスワードの文字列又は有効期間を適切に設定しているかを質問されます。薬剤師の方はレセコンの設定に関して、医療事務に任せている方が多いようです。しっかりと理解しておきましょう。
- 調剤業務フローを質問されます。管理薬剤師は受付から服薬指導までの手順を説明します。
- 疑義照会の照会内容に関して記載すべきことが質問されます。
上記2問(☆)は簡単に答えられそうですが、いざとなると慌ててしまい手順を間違えたり、抜け落としてしまうものです。この2問を完璧に答えられるか、答えられないか、個別指導の流れを大きく変えるポイントとなるように思えます。
- 処方内容に関する薬学的確認として、過量投与が疑われるもの、相互作用が疑われるもの、薬学的に問題がある多剤併用が疑われるもの、投与期間の上限が設けられている医薬品について、その上限を超えて投与されているものなど、処方内容について確認を適切に行っていない。この場合、処方医への疑義照会を行っているものの、その内容等を処方箋又は調剤録に記載していないものを含みます。
- 調剤料の夜間・休日等加算について、薬剤服用歴の記録又は調剤録に平日又は土曜日に算定した患者の処方箋の受付時間を記載していない。加算の対象とならない日又は時間帯において調剤を行った場合に算定しているなど、誰にでもわかるものは注意してください。
- 薬学管理については、患者に対して、手帳を活用することの意義、役割及び利用方法等について十分な説明を行っていない。残薬が相当程度認められると判断される場合には、処方医に対して連絡し、 投与日数等の確認を行うよう努めること。
- 薬剤服用歴の記録について、指導後速やかに完了していない。そして患者の体質 ( アレルギー歴 ・副作用歴)、後発医薬品の使用に関する患者の意向、併用薬(要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品及び健康食品を含む。)等の状況、服薬状況(残薬の状況を含む。)、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)、今後の継続的な薬学的管理及び指導の留意点など、薬剤服用歴の記録について確認等をされます。